皆さんはマーケティング戦略を考える上では欠かせない、3C分析と4P分析のフレームワークを行ったことはありますか?
理論やフレームワークとしては理解できていても、実際に使いこなすのが難しいといったことはないでしょうか?
記事を執筆している私もマーケティング戦略を考える上で、3C分析と4P分析をもっと十分に使いこなして戦略立案を立てたい!といつも感じます。
今回は3C分析と4P分析を使いこなすためには欠かせない「帰納法」について「問題解決を高める推論の技術 羽田康祐著」を参考に紹介していきます。
目次
3C分析・4P分析を使いこなすには「帰納法」「推論」が重要
3C・4P分析を上手く扱えない場合に多いのが、これらのツールとしての扱い方に問題があるといったケースです。
私たちは、自分では気が付かないうちに間違った使い方をしてしまっているようで、3C・4P分析の使い方を今一度改める必要があります。
著者の羽田康祐さんいわく、3C・4P分析が上手く扱えない人はただの「情報整理のための穴埋めツール」としか活用出来ていないとのことです。(問題解決を高める推論の技術 p64)
また、3P・4C分析は「帰納的に推論するためのツール」として使いこなす必要があるとのことです。(同書 p64)
いきなり日常では聞きなれない「帰納的」「推論」という言葉が出てきて理解しにくいと思います。
まずは「推論」「帰納的(帰納法)」について詳しく解説します。
「推論」「帰納法」とは?
まず推論についてです。
例えば、天気予報で夕方から雨が降ることが分かっています。今までの経験から傘を持っていったほうが困ることはありませんでした。
当然、傘をもって出かけますよね?
無意識のうちに未来の未知の事柄に対して妥当な結論を出せているんです。みなさんも普段から推論は出来ていると思います。
定義でいうと推論とは「未知の事柄に対して筋道を立てて推測し、論理的に妥当な結論を導き出すことです。」(同書 p22)
次に帰納法を具体的に説明したいと思います。
事実①:ハーゲンダッツは収益性が高い
事実②:amazonは収益性が高い
事実③:レッドブルは収益性が高い
このように漠然とした事実があるときに、何らかの共通点を探すことが帰納法です。
3つの事実の共通点は世界規模で新たな市場を創造しトップブランドになったことです。
ハーゲンダッツは「プレミアムアイス市場」の開拓者です。
素材にこだわり完璧なアイスクリームという印象を消費者に認知させました。今や世界50カ国以上で愛されるアイスクリームブランドです。
Amazonはネット書店から始まり「ネット書店」という市場を形成しました。いまや先進国のEC市場シェアでは20%を超えてナンバーワンポジションを築いています。
レッドブルは成熟したエナジードリンク市場で機能ではなくイメージで新たな市場を形成しました。
「レッドブル、翼をさずける。」というキャッチコピーは多くの人が知っていると思います。
レッドブルは従来までの栄養ドリンクの捉え方を変えました。
従来の栄養ドリンク「疲労回復」というイメージに対し、レッドブルは「飲むと強くなる」というイメージを作り上げトップブランドに躍進しました。
結論:新たな市場を切り開きトップブランドになれば世界規模で高い収益性が見込める。
このように事実から共通点を見つけ出して、法則を発見することが帰納法です。
同書の中でも、「帰納法とは複数の事実から共通点を発見して結論を導き出す推論法です。」(同書 p49)と書かれています。
3C分析や4P分析を使いこなすには帰納法がなぜ必要なのか?
なぜ3C分析や4P分析を上手く使いこなすには「帰納法」が必要なのかを説明していきます。
これまでの帰納法を使わない3C分析などは、事実を述べるだけに完結していないでしょうか?
「本来分析とは、物事の特徴を正しく捉えた上で、それぞれの物事の間にある『関係性』を見抜くことです。」(同書 p25)
「この世のなかにあるあらゆる物事は『事実』と『関係性』でなりたっています。」(同書 p25)
普段の3C分析ではあらゆる物事の「事実」だけを捉えている状態にあります。「関係性」を捉え損なったまま3C分析などを行ってしまっているのです。
これが「分析が甘い」と感じる原因です。
本来の分析をするには「事実」を捉えることに加えて「事実同士の関係性」を解明していくプロセスが必要です。
「事実同士の関係性」を解明するためには推論すなわち帰納法が必要不可欠になるのです。
「帰納法を意識して3C分析や4P分析などのフレームワークに取り組むと優れた戦略や方針を策定することができる」と羽田さんはおっしゃっています。(同書 p64)
3C分析・4P分析を使いこなすための帰納法の事例
ここでは帰納法を使って、あらゆる物事の「事実」から「関係性」を捉えつつ結論へと導く方法について解説します。
「問題解決を高める推論の技術」の中で著者の羽田康祐さんは以下の3stepを意識して過ごすように提言されています。
1step:様々な事実に気がつく
2step:複数の事実の共通点を発見する
3step:共通点から「結論」を見出す
1step:様々な事実に気がつく
日頃から周囲の出来事やイベントを見ることもあったりすると思います。
著者の羽田さんは「帰納的推論の出発点は『複数の事実に気づく』ことにある」とおっしゃっています。(同書 p74)
私も以前よりも周囲から新しいことを見つける工夫を取り入れています。
例えば、電車の広告は誰をターゲットにしているか仮説を立てたり、繁盛しているお店に行ってお店が繁盛している理由を分析したりしています。
「いかに自分の見えている世界を広げて多くの気づきを得られるかが重要です。」(同書 p74)
2step:複数の事実の共通点を発見する
次に日常の複数の事実から1つの事実を見つける工夫を行ってみましょう。
複数の事実から共通点を発見するには方法が2つあります。
1つ目は「直接的に」共通点を発見する方法です。
事実①:IT企業A社の竹本さんは、真面目な性格だ。
事実②:IT企業A社の田中さんは、真面目な性格だ。
事実③:IT企業A社の鈴木さんは、真面目な性格だ。
共通点:IT企業A社の人に共通することは、真面目な性格である。
「共通点は何か?」と聞かれたら「IT企業A社の人は真面目な性格」と即答できると思います。
このように「事実の中から共通点を探す」だけです。比較的簡単だと思います。
2つ目は「洞察を通して」共通点を発見する方法です。
1つ目の「直接的に」共通点を発見するよりもやや複雑に感じることでしょう。
直接的な答えがない「複数の事実」から共通点を様々な視点から捉えて共通点を導き出す必要があります。
事実①:広告部署の予算は100万円
事実②:お客様は高すぎる自社製品Aをほしいと思っていない
事実③:競合B社は競合製品の価格を下げた
一見すると何も共通点が無いように見えますが、上記の3つの事実は何か共通点があります。
この3つの要素は、「3C分析の欠かせない要素」という共通点が見つかります。
事実①は自社、事実②は顧客、事実③は競合についてです。
「共通点がなさそうな事実から洞察を通して共通点を見つけることが重要です。」(同書 p74)
「つまり複数の事実から『形のない概念』に抜き出すことが必要だ」と著者の羽田さんはおっしゃっています。(同書 p74)
3step:見出した共通点から「結論」を出す
最後は見出した共通点から1つの結論を導き出します。
先ほどの例で上げた3つの事実は「3C分析の欠かせない要素」の具体的な要因です。
具体的な事実から抽象的な形のない概念に落とし込むことで、結論を見出すことができます。
結論:3C分析の欠かせない要素を見つけるには、自社と顧客、競合について常に状況を把握しておく必要がある。
このように複数の事実から共通点を見つけ出して、結論を見出すことで帰納法を使いこなすことができます。
「問題解決を高める推論の技術」から帰納法を学び感じたこと
私自身も複数の事実から共通点を見つけ出して、1つの結論を出す帰納法は出来ていませんでした。
3C分析や4P分析を使いこなすにはマーケティングの知識だけでなく、帰納法も使った関係性を伴う結論を出すことが不可欠だと感じています。
3C分析や4P分析が上手くいかないと感じたら帰納法などの思考法を磨いてみることをおすすめします!