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クロス3C分析の重要性と難しさ
今回はマーケティングの基礎的なことであるにもかかわらず、とても奥の深いクロス3C分析についてお話ししたいと思います。クロス3C分析をマスターできていないと、その後の調査がうまくいかない可能性が大いにあります。
しかしこの記事を読むことでクロス3C分析をする上で陥りがちなミスや、認識の誤りなどを正すことができるので、まだクロス3C分析を行うのに不安の方は必見です…!
さっそくクロス3C分析の話に入りたいのですが、その前にクロス3C分析の根幹となる3C分析について軽く触れたいと思います。以下の講義資料は環境分析の流れを示したものです。この資料からもわかる通り、3C分析というのは複数のフェーズにまたがっているものです。

つまり3C分析はマーケティングの基礎的な分析の集合体ということになります。ということは基礎的な部分である市場調査や4P分析が分かっていれば、自ずと3C分析やクロス3C分析ができるという風に言えると思います。
しかし残念ながらそんなに単純ではないのが現状です。各々はシンプルでも、それぞれが関係しあうことで複雑になるのがクロス3C分析です。
またこの分析はSTP分析やプロモーションメッセージを決める際にも重要になってくるので、ここが不安定だと後々響いてしまいます。
マーケティングにおけるクロス3C分析の正解ってなに…?
クロス3C分析がうまくいかないそもそも1番の問題は、このクロス3C分析の前段階である3C分析というものをきちんと理解できていないということにあると考えます。
これには様々な理由が考えられます。例えば3C分析を最初に勉強したせいで、全体を把握するころには3C分析に対する理解が薄れている状態。あるいはマーケティング学習者であれば、必ずどこかのタイミングで3C分析は通ると思いますが、一見するとそこまで難しそうに見えないので重要性を認識せず深く理解しようとしないまま先に進んでしまったというような状態です。
正しいクロス分析のやり方
そこで今回mercEducation福田さんの講義資料を基にクロス3C分析を一緒に考えていきましょう!

クロス3C分析を図で表すとこのような形になります。そもそもクロス3C分析とは、3C分析で扱った「市場・顧客」「自社」「競合」を別個で考えるのではなく、それぞれをかけ合わせて考え、更にその中心に位置する最も外せない重要な部分(図中KSF)を見つけ出すというものです。
ではそれぞれの掛け合わせに分解して考えてみましょう。
それぞれの掛け合わせを分かりやすくするために、今回は高級茶葉を販売している会社を例に話を進めていきたいと思います。
簡単な分析結果は以下の通りです。
市場・顧客:お茶が好きな人
自社:高級茶葉を比較的安価に提供
競合:標準的な茶葉を妥当な価格で販売
まずは「市場・顧客×自社」です。ここでは自社分析と市場分析が大事になってきます。それぞれを分析して導き出されるものは「自社の強みはどこにあって、それを用いて市場のどこに活路を見いだせるか」ということです。
分析結果をもとに考えると、ここでは「高級茶葉を比較的安価に提供できるという自社の強みをもって、お茶好きな人の中でも質の高いお茶に興味がある人」にアプローチできるということがわかります。
もしこの分析をいい加減にしてしまうと、
①自社の強みが分からない
②どこにニーズがあるのかわからない
といった問題が生じてしまい、結果として自社が力を発揮できない&ニーズもないところに首を突っ込んでしまう可能性が出てきます。

次に「市場×競合」です。ここでは先ほどの市場分析に競合分析を重ねる必要があります。この分析をすることで「競合が取りこぼしているorコントロールできていない市場のニーズ」を理解することができます。
具体例を考えてみます。
競合は「お茶好きな人が集まる市場に標準的な茶葉を妥当な価格で販売」しています。
ではお茶好きな人はみな標準的なお茶を飲みたいのでしょうか?質が高いお茶を飲んでみたいと思う方はいないのでしょうか?
これが競合が取りこぼしている可能性のある市場のニーズです。
反対にここをおざなりにしてしまうと、
①競合が押さえているニーズがどこかわからない
②競合の強さを見誤る
といった問題が生じる可能性が出てきます。

では最後に残っている「自社×競合」です。自社分析と競合分析を重ねてわかるものは自社が競合と比べて優位に立てるところです。つまりは競合が対応できていないニーズの発見や、競合が押さえているけれども自社の強みで競合を上回ることができるかどうかということがわかります。
こちらでも具体例を考えてみましょう。競合と自社を比べると「提供している茶葉の質の違い」が考えられます。競合はお茶好きという層に幅広く受け入れられる商品を出しているかもしれませんが、高品質な茶葉を求めるユーザーは少し不満に思っているかもしれません。ここが自社が他社よりも優位に立てるポイントなのではないでしょうか。
もしここでいい加減な分析を行ってしまうと、
①自分の力を過大評価×競合を過小評価
②自社の優位性を保てないところに進出
といったネガティブな結果をもたらす可能性があります。
そしてこの3つの掛け算をきちんと分析することでわかるのがKSF、つまり「ニーズを満たしていながら、競合より優位に立つことができ、なおかつ自社の強みを存分に発揮できるところ」を理解することができます。

まとめ
いかがだったでしょうか。簡単に見えそうで奥が深いのがクロス3C分析です。ここをいい加減に行うと小さなズレが生じ、最終的には時間とお金をかけたにもかかわらず見当違いの調査・分析結果が生まれてしまったなんてことになりかねません。ぜひこれを機会に一度学んだことがある方は復習をしてみてください。実際学ぶたびに様々な発見ができると思います。