この記事は、2020年6月18日に開催された「プログリットCMO新井氏登壇!無形商材のプロモーション戦略とデータ活用」のセミナーレポートです。

目次

STP分析で重要なポジショニングとは?

皆さんはコンビニでお茶を購入するときに、多くの選択肢の中から何を基準に選んでいますか?その根拠を明確に語ることはできますか?

実は毎日消費者は無意識に、似たような商品の中から一つの商品を選択し購入しています。では、無意識に商品を選んでもらうにはどうすれば良いのでしょうか?

重要なのは、ポジショニング戦略です。今回は、ポジショニングについてどのように考えれば良いのかについてお伝えしていきます。

ポジショニングの重要性

なぜポジショニング戦略が重要なのでしょうか。結論からお伝えすると、ポジショニングをしないと似たような商品の中に埋もれ、消費者から選ばれにくくなってしまうからです。

人間は、選択肢が多ければ多いほど、選ぶことを困難に感じるという性質を持っています。それを「ジャムの法則」と呼びます。試食に6種類のジャムを用意したときと、24種類のジャムを用意したときを比較すると、なんと6種類のジャムを用意した時のほうが、ジャムを購入するの割合が多かったのです。人は多すぎる選択肢があるときに選択することが難しいのです。

https://www.youtube.com/watch?v=1pq5jnM1C-A

参考:Sheena Iyengar: How to make choosing easier

似通った商品であふれている現代において、どの商品もそれなりの品質があるため、消費者にとって、多くの商品の中から一つを選ぶということは難しいということです。

ポジショニングの具体的な方法

どうすれば、似たような商品に埋もれることなく消費者に選んでもらえるようになるのでしょうか?その答えは、商品に付加価値をつけ明確なポジションを確立することです。

ポジショニングの順序は以下の通りです。

  1. コアバリューを見つける
  2. もう1軸差別化軸を追加する
  3. コアバリューを前面に押し出す

具体的な事例を用いて、明確なポジションを確立するまでの流れをお伝えしていきます。

V字回復 丸亀製麺の成功事例

今回は、丸亀製麺を事例に挙げます。「安い・早い・うまい」の三拍子が揃っていて、普段から利用する方も多いのではないでしょうか?

実は丸亀製麺は、もともと売り上げが右肩下がりでした。しかしある企業がコンサルに入り、明確なポジションを確立。一気に売り上げが右肩上がりに成長した企業なのです。

実際にどのようにポジションを確立していったのか見ていきましょう。

①コアバリューを見つける

ここでいうコアバリューとは顧客が得られる「真の価値」という意味です。では丸亀製麺のコアバリューとは、一体何なのでしょうか?答えは、コンサルを担当した森岡毅氏のインタビューに書かれています。

「すべての店内で粉から麺を手作りし、出来たてのおいしさにこだわり抜いてきました。」

引用:日経クロストレンド「森岡毅氏単独インタビュー 丸亀製麺・復活の秘策」https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00236/

つまり店舗で手打ちをし、出来立てのおいしさを提供することが丸亀製麺のコアバリューだったのです。

②もう1軸差別化軸を追加する

コアバリューを見つけた段階で、「どこで麺を作っているか」という軸で分けることができるようになりました。

講義資料より抜粋

しかし、これだけではまだ唯一無二のポジションをとることは出来ていません。そこで、もう一軸差別化軸を追加してみます。

追加する軸は、「お店の形態」で、「個人商店」か「チェーン店」かです。 

講義資料より抜粋

多くのチェーン店では、麺を工場で生産し店舗まで運ぶという流れが一般的ですが、丸亀製麺は、チェーン店でありながら麺を工場で生産せず、各店舗で手打ちをすることにこだわっていたことが図から分かります。

ポイントは差別化軸を2つにして、唯一無二のポジションを確立することです。

③コアバリューを前面に押し出す

ここまで、丸亀製麺のポジションについて考えてきましたが、最後に重要なことは「顧客がコアバリューを認識すること」です。

丸亀製麺の場合、店舗に入ってすぐに麺を手打ちしている店員さんが目に入ってきます。

これによって、消費者は「しっかりと店舗で手打ちしていて、こだわりのあるうどんなんだ」と認識できるのです。

ポジショニングの効果

冒頭に、人は選択肢が多くなるほど選択を困難に感じる性質を持っていて、だからこそ明確なポジショニングが重要だとお伝えしました。

明確なポジションをとれていて、顧客にしっかりと伝わっていれば、「なぜこの商品を購入するのか」が明確になる為、選択肢が極めて少なくなります。

食べ過ぎてしまい体脂肪が気になるとき、普通のお茶ではなく「特茶」を選ぶのがその一例でしょう。

終わりに

繰り返しになりますが、消費者に選んでもらうためには、ポジショニング戦略が重要です。

コアバリューを際立たせることで明確なポジションが確立され、商品を選ぶ際の明確な理由が生まれる。そして消費者は無意識に商品を選ぶことが出来ようになる。

筆者自身、本セミナーを通して、マーケティング担当者の視点で生活することの大切さを感じました。商品を購入する際に、購入する理由を明確に言語化することで、様々な商品のポジショニング戦略について考えることにつながります。この積み重ねをすることで、日常的にマーケティング思考をアップデート出来ると実感しました。

是非皆さんも、「なぜ自分はこの商品を選んでいたのだろう」と身の回りの商品を振り返るところから始めてみてください。